競合リサーチの始め方|無料ツールだけで行うキーワード調査・広告分析・差別化のコツ


この記事のゴール

無料ツールのみで「検索キーワード調査→広告分析→差別化ポイント設計」までを一気通貫で行うための手順とテンプレートをまとめました。広告費ゼロでも、情報の集め方と見るポイントを外さなければ、成果に直結する示唆は得られます。作業用のチェックリストやスプレッドシート雛形(項目案)も用意しています。

全体像:3レイヤーで見ると迷わない

  1. 市場・意図レイヤー:検索意図とテーマの広がり(需要の全体像)
  2. SERP/広告レイヤー:実際に競合が取っている面(検索結果・広告・LP)
  3. 差別化レイヤー:オファー・証拠・体験(スピード/価格/独自性)

準備:競合の定義と観測範囲

  • 直接競合:同一ニーズ・同一商品カテゴリ(例:同じSaaS)
  • 間接競合:同じ課題を別解で解く(例:スプレッドシートで代替)
  • SERP競合:検索結果で上位を占める媒体(比較サイト、メディア、UGC)

観測範囲は「1つの主要KW × 3意図(情報/比較/取引) × デバイス(PC/モバイル)」を基本ユニットにします。

無料ツール早見表

目的無料ツール使いどころ
サジェスト/関連語Google検索、関連キーワード、ラッコキーワード(無料枠)ロングテール抽出・意図の洗い出し
需要トレンドGoogleトレンド季節性・伸びているクエリの把握
広告クリエイティブMeta広告ライブラリ、Google Ads 透明性センター、TikTok Creative Center訴求・フォーマット・CTA収集
SERP観察Google(シークレット)・検索演算子上位ページの型とE-E-A-T要素
技術/速度PageSpeed Insights、LighthouseLPの速度・UXの差
サイト構成Wayback Machine、Wappalyzer / BuiltWith情報設計・使用ツールの推測

STEP1:検索意図とキーワードの全体像を整理する

1-1. サジェストと関連キーワードで「意図バケット化」

  • Googleに主要KWを入れて、サジェスト・関連キーワードをすべてメモする。
  • 「情報(What/How)」「比較(VS/ランキング)」「取引(申し込み/価格/クーポン)」の3バケットに分類。
    例:「CRM」
    ・情報:CRM とは/CRM 導入 メリット
    ・比較:CRM 比較/CRM 中小企業 おすすめ
    ・取引:CRM 料金/CRM 無料 トライアル

1-2. 検索演算子で抜け漏れを補完

  • site:example.com crm(特定サイト内の関連ページ抽出)
  • intitle:”CRM 比較” 日本語(タイトルに含まれる語で比較系を発見)
  • inurl:pricing CRM(価格ページの有無を確認)
  • 「企業名」+ 料金/導入事例/評判(比較検討の決め手を素早く把握)
    演算子は、競合の強み(事例の量、価格ページの有無、ヘルプセンターの充実)を短時間で可視化できます。

1-3. Googleトレンドで季節性と上昇テーマを確認

  • 対象地域・期間を「過去12か月/5年」で切替。
  • 関連トピックの「急上昇」を拾い、記事・広告のネタ候補に。

STEP2:SERPを読み解く(勝ち筋の型を把握)

※SERP=Search Engine Results Page(検索結果ページ)の略。

2-1. SERPの支配要素をチェック

  • 上位10件のページタイプ(比較記事/公式/UGC/動画)の比率
  • 検索機能(動画カルーセル、PAA、レビュー、地図)の有無
  • タイトルの共通語(最新版/徹底比較/無料/初心者 など)
    → これらから、検索者が何を期待しているかを抽象化できます。

2-2. 上位ページのE-E-A-T要素を抜き出す

  • 一次情報(独自データ、スクリーンショット、検証)
  • 経験(自社導入の記録、失敗談)
  • 権威(著者プロフィール、実績、引用元)
  • 信頼(更新日、免責、ポリシー、FAQ)
    この抜き出しは、後の差別化で「埋められていない証拠」を作るヒントになります。

STEP3:無料でできる広告分析

3-1. 広告ライブラリで訴求とフォーマットを収集

  • Meta広告ライブラリ:ブランド名やドメインで検索。静止画/動画の訴求文、CTA、オファーを保存。
  • Google Ads 透明性センター:広告主名で絞り、検索/YouTube/ディスプレイの表現を比較。
  • TikTok Creative Center:縦型動画のフック(最初の3秒)と字幕構成を観察。
    見るポイント:問題提起→共感→解決策→オファー→CTA の流れ、価格・無料体験・返金保証などのオファー強度。

3-2. 広告からLPまでの一致度(メッセージマッチ)

  • 広告の約束(最短◯分、◯%削減 など)とLPの証拠(事例、数値、デモ)の一致度を0〜2点で採点。
  • ファーストビューの確認:ヘッドライン/サブコピー/主要CTAが可視領域にあるか。
  • 不安低減:返金保証、セキュリティ、第三者評価、FAQの有無。

3-3. LPの速度・UX

PageSpeed Insightsでモバイル・PCのLCP/CLSを取得し、遅い競合のCVR低下要因を仮説化。
「画像最適化」「フォント遅延」「アニメ過多」などの改善余地をメモ。

STEP4:キーワード選定と優先度の付け方(無料版)

4-1. 難易度の当て勘を制度化

  • 上位10件のドメイン種類(公式/メディア/UGC)と被リンクの雰囲気(ニュース・大学・官公庁が多いと難)。
  • タイトルの独自性が薄い=差がつきやすい。
  • 情報/比較/取引のうち、比較はメディアが強いが、取引は公式LPで勝ちやすい。

4-2. 優先度スコア(簡易)

  • 式:優先度 = 事業適合(1〜3) × 意図の近さ(1〜3) × 供給ギャップ(1〜3)
  • 定義:供給ギャップ = 上位に「薄い記事/古い情報/体験不足」が多いほど高得点

STEP5:差別化の作り方(無料でできる情報優位)

5-1. 差別化の4パターン

  1. オファー差:無料トライアル/延長保証/返金保証/初月割
  2. 証拠差:一次データ(ユーザー調査100件、速度実測、A/Bテスト結果)
  3. 体験差:導入までの時間短縮、オンボーディング支援
  4. トーン差:専門家監修・失敗談公開・比較軸の透明性

5-2. 競合カルテ(コピペOKの項目案)

項目競合A競合B自社
主訴求(ヘッドライン)
オファー(無料/割引/保証)
証拠(事例数/第三者レビュー)
ファーストビューのCTA
LP速度(LCP/CLS)
よく使うキーワード群
弱点(古い/体験不足/複雑)
差別化仮説(自社)

5-3. 2×2でポジショニングを固定

縦軸:導入ハードル(低←→高)、横軸:価格(低←→高)。
空白ゾーンを見つけ、そこに刺さるキーワード・オファー(例:「最短即日導入」「ノーコード」「無料診断」)を合わせます。

STEP6:作業フロー(半日スプリントの例)

  1. 30分:主要KW決定とサジェスト収集
  2. 45分:SERP観察と上位10件の型メモ
  3. 30分:広告ライブラリで訴求収集(5〜10件)
  4. 30分:LPのメッセージマッチ採点
  5. 30分:差別化案を3つ作成(オファー/証拠/体験)
  6. 15分:次アクション化(記事構成、LP改善、広告案)

すぐ使えるチェックリスト

  • □ 主要KWの意図バケット(情報/比較/取引)を3つ以上埋めた
  • □ SERPの支配要素(媒体タイプ/機能)を把握した
  • □ 広告からLPまでのメッセージマッチを採点した
  • □ 一次情報のネタ(調査/実測/検証)を1つ決めた
  • □ 競合カルテの弱点に対する差別化案を3つ出した

具体例:BtoB SaaS(CRM)の差別化案サンプル

  • キーワード:「CRM 中小企業 おすすめ」「CRM 料金」
  • SERP観察:比較メディアが多く、一次データが薄い。価格ページは隠しがち。
  • 広告ライブラリ:「導入実績◯万社」「無料トライアル」が乱立。
  • 差別化:価格を透明化(3プランのみ・電卓)、導入時間の一次データ(平均◯時間短縮)、失敗談記事の公開。
  • LP改善:「最短◯分で使い始め」「◯社の中小企業が移行」「設定代行◯円→今だけ無料」

法的・倫理的注意

  • 各プラットフォームの規約に従い、非公開情報の収集やスクレイピングは避ける。
  • 広告やLPの文言引用は必要最小限にし、出典を明記する(社内用メモでも習慣づけ)。

まとめ:無料でも活用方法はある

無料ツールだけでも、意図の読み取り→SERPの型→広告とLPの一致→一次情報で差別化、の流れを踏めば、勝てるキーワードと勝ち筋は見えてきます。まずは主要KWを1つ選び、本記事のチェックリストで半日スプリントを回してみてください。結果が出始めたら、同じ型で横展開すればOKです。

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執筆者プロフィール

ad-staff

ボボコンサルティング株式会社にて、広告の運用や営業を担当しています。 商品やサービスによって最適な戦略は異なるため、クライアント様の商品やサービスをしっかり理解することを大切にしております。 このブログでは、弊社の「コスパ広告くん」を知っていただくきっかけとして、WEBマーケティングに関連する記事を更新しております。