検索ボリュームの正しい読み方|テーマ選定の基準と落とし穴・優先順位付けの手順【SEO】
この記事のゴール
検索ボリュームを単なる数字ではなく、意図と収益性を伴った意思決定材料に変えること。無料ツールでの把握方法、正しい読み方の原則、テーマ選定の基準、よくある落とし穴、そして実務で使える優先順位付けの手順をまとめます。
検索ボリュームとは何か
検索ボリュームは、特定の語句が一定期間に検索された推定回数。主な取得元はキーワードプランナー、Googleトレンド、既存サイトのサーチコンソールです。数値は推定であり、期間や地域、デバイス、マッチタイプ(完全一致か広い一致か)でブレます。絶対値だけを見るのではなく、比較と意図を前提に扱うのが基本です。
無料ツールだけでどこまで分かるか
| ツール | 分かること | 使いどころ |
|---|---|---|
| Googleキーワードプランナー | ボリュームのレンジ、関連語、季節性の概況 | 種語の当たりを付ける、テーマの広がり確認 |
| Googleトレンド | 相対的な人気推移、季節性、地域差 | 旬とオフ、伸びている関連トピックの把握 |
| Googleサーチコンソール | 自サイトでの実インプレッションとクリック、表示クエリ | 既存資産の伸び代、カニバリ、実効CTRの現実値 |
| SERPの目視確認 | クリック余地、商用度、競合の強さ | ゼロクリック化や意図の混在を見極める |
注記:SERPとは Search Engine Results Page(検索結果ページ)のこと。上位の並びやリッチ結果の有無で、クリック可能性は大きく変わります。
正しい読み方の原則(まずはここを外さない)
- 相対比較で捉える
同一テーマ内での強弱を見る。絶対値は誤差が大きい前提。 - 意図の混在を分解する
とは系、比較系、取引系で意味が違う。同じボリュームでもCVの質が変わる。 - クリック可能性を推定する
地図、ナレッジパネル、回答ボックスがあるとゼロクリック比率が高まりやすい。実効ボリュームは下がる。 - 季節性と鮮度を重ねて見る
年間平均の数字だけで判断しない。旬に合わせて仕込み時期をずらす。 - 事業適合と収益性で重み付けする
自社でマネタイズできないテーマは後回し。関連度とLTVを優先軸に。
テーマ選定の基準
- 事業適合度
自社の提供価値とユーザー課題の一致度。 - 意図の近さ
検索者が行動に移るまでの距離。取引意図に近いほど優先。 - 収益ポテンシャル
ひとり当たりの収益やLTV、CVの発生確率。 - 勝ち筋の有無
SERPに一次情報の薄い記事や古い情報が多いか、公式が弱いか。 - 継続資産性
一度作ると長く検索流入を生む常緑性か、旬の単発か。
よくある落とし穴
・大きな見出し語だけを追い、意図が曖昧なビッグワードに偏る
・ボリュームの合算表示(ブランド名+一般語など)を鵜呑みにする
・単語の表記揺れやシノニムを統合せず分散投資してしまう
・季節性を無視してオフシーズンに量産、収穫期に間に合わない
・既存記事と意図が被り、内部でカニバリゼーションを起こす
・地域やデバイス差を見落とし、実態に合わない見積もりをする
優先順位付けの手順(実務フロー)
- 収集
種語からサジェストと関連語を洗い出し、キーワードプランナーのレンジで粗くボリュームを付与。 - クラスタリング
情報、比較、取引、ローカル、トラブルの5意図で束ね、代表語を決める。 - SERP診断
上位10件の媒体タイプ、リッチ結果、更新日の新しさを確認。クリック余地と競合の強さをメモ。 - 実効ボリューム推計
予想CTRとゼロクリック比率を掛け合わせ、現実的な流入可能性を算出。 - 難易度評価
公式サイトの強さ、メディアの権威、一次情報の有無で肌感を点数化。 - 優先度スコア化
事業適合、意図の近さ、実効流入、難易度、旬度の5軸をスコアリング。 - 計画化
高スコアから順に、記事構成とCTA、必要な一次情報の準備を決める。
スコアリング表(そのまま使える簡易版)
| 指標 | 内容 | スコアの目安 |
|---|---|---|
| 事業適合(1〜3) | 自社商材との直結度 | 3=直結、2=隣接、1=周辺 |
| 意図の近さ(1〜3) | 取引に近いか | 3=取引、2=比較、1=情報 |
| 実効流入(1〜3) | 実効ボリュームの相対値 | 3=高、2=中、1=低 |
| 難易度逆数(1〜3) | 勝ち筋の有無 | 3=弱、2=普通、1=強 |
| 旬度(1〜3) | トレンド上向きか | 3=上昇、2=横ばい、1=下降 |
優先度スコア = 各指標の積(最大 243)。同点なら制作コストの低いものから着手します。
実効ボリュームの出し方(考え方)
実効ボリューム = 名目ボリューム × クリック可能性 × 想定順位CTR × 季節係数
・クリック可能性:SERPに回答ボックスや地図が出ていると低下
・想定順位CTR:1位で25〜35%、3位で10〜15%が目安(テーマにより変動)
・季節係数:Googleトレンドのピーク比で調整
サンプル(テーマ:CRM)
| キーワード | 名目ボリューム | SERPの特徴 | クリック可能性 | 想定順位CTR | 季節係数 | 実効ボリューム(概算) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| CRM とは | 10,000 | 定義、ナレッジパネル、PAA多数 | 0.6 | 0.12 | 1.0 | 720 |
| CRM 比較 | 3,000 | 比較記事中心、広告多め | 0.75 | 0.18 | 1.0 | 405 |
| CRM 料金 | 1,500 | 公式LP多め、商用高 | 0.8 | 0.2 | 1.0 | 240 |
| CRM 導入 失敗 | 400 | 体験談少なめ、隙あり | 0.9 | 0.15 | 1.0 | 54 |
数字は概念例。取引寄りの語は名目が小さくても実効流入とCVが取りやすいケースが多いです。
優先順位付けの具体例(上記サンプルに適用)
| 指標 | CRM とは | CRM 比較 | CRM 料金 | CRM 導入 失敗 |
|---|---|---|---|---|
| 事業適合 | 2 | 3 | 3 | 2 |
| 意図の近さ | 1 | 2 | 3 | 2 |
| 実効流入 | 3 | 3 | 2 | 1 |
| 難易度逆数 | 1 | 2 | 2 | 3 |
| 旬度 | 2 | 2 | 2 | 2 |
| 積(優先度) | 12 | 72 | 72 | 24 |
この例では「CRM 比較」と「CRM 料金」が同点最優先。制作負荷と自社の強みで順番を決め、比較は一次検証データと価格透明化の証拠で差別化、料金は見積もり早見表やコスト最適化の切り口でCVに寄せます。
キーワード粒度とページ設計の考え方
・1ページ1意図が原則。同じ意図の近接語はH2/H3で束ね、別意図は別ページに分ける
・ビッグワードはハブ、取引語はマネーページ、小粒はFAQやセクションで吸収
・既存記事の表示クエリを踏まえ、伸びている語を見出しに追加して取りこぼしを回収
すぐ使えるチェックリスト
- 種語から関連語を収集し、5意図でクラスタリングした
- 名目ボリュームではなく実効ボリュームを推定した
- SERPを確認し、クリック可能性と勝ち筋をメモした
- 事業適合と収益ポテンシャルで重み付けした
- 優先度スコアを算出し、上位から制作計画に落とした
- 既存記事とのカニバリを確認し、統合や内部リンクを設計した
- 季節性を踏まえ、仕込みと公開の時期を決めた
まとめ
検索ボリュームは出発点であって、答えではありません。意図の分解、クリック可能性の見極め、季節性と事業適合での重み付けを通じて、初めて意思決定の精度が上がります。無料ツールで十分に戦えるので、まずは実効ボリュームの推定とスコアリング表を使い、今月仕込むテーマを3本だけ選ぶ。小さく正確に当てて、勝ちパターンを横展開していきましょう。
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